服巻が社会的に死に…
ー大会議室ー
ロの字に組まれた机、パイプ椅子に座る職員たち。
「今回の服巻先生の一件ですが、保護者から問い合わせが殺到しております。ネットにも動画が拡散されているようで、サーバー運営会社にも問い合わせておりますが…手の打ちようがありません。」一人立つ校長が進行していく。
…
劣等生かよw 生徒に注意できる立場じゃないな…
「そんな…なんとかならないのですか…?」井出が椅子をのけぞらせ、瀬戸も焦りの表情を浮かべている。
「一度ネットに出回ってしまったら、もう消すことは不可能ですよ。」田畑も聞く。
「我々のスマホだけじゃない。大半の生徒たちのスマホも乗っ取られてしまいました。こんなの…イタズラの域を越えてますよ。」学年主任でフィニッシュ。ここの会議は下っ端から発言していくスタイルなのか。
「神庭先生、犯人の狙いは我々教員かと仰っていましたが、」教育者どころかカタギではない仕事をしていそうな
「ええ、生贄投票は2-Cのクラスの生徒の中から生贄を我々に選ばせるような素振りをみせて、実際は投票してしまった服巻先生に社会的死という名の制裁が与えられた。これは投票側である我々を陥れるために最初から仕組まれていた罠だと思われます。」
ここにいる
ドヤッたのに遠景w
ザワつく会議室。教頭は「…」無言のままジャケットの胸ポケットに右手を入れる。
「ともかくー」注目する神庭と美奈都。
教頭が取り出し突きつけるのは自身のスマホだった。
「教員のスマホは緊急連絡用に必要でしょうが、生徒のスマホはその限りじゃない。今後混乱を避けるために生徒のスマホは校内持ち込み禁止にしましょう。」今時厳しい私立でもなかなかない規律だ。
「よろしいですね。吉田校長」チラッと隣の校長を見る教頭。
「あ、ええ…」顔から汗を出し眼鏡を上げる仕草から、真の支配者が教頭であることが読み取れる。
ガタッ「ちょっと待ってください!!」
席を勢いよく立ち上がる人物…
「今までスマホの使用に関しては、生徒の自主性に任せてきました。それをいきなり …」田畑だ。美奈都の役回りに近いな。
「田畑先生、事態の深刻さをわかっていますか?授業中も教員の目を盗んでは、スマホをいじって課金だなんだと目の前のおもちゃに夢中でー授業など聞いていない。」ねちっこいい言い方だ。でも、禁止の目的がずれてはいないか?
「猿と一緒だ。」吐き捨てた。
「ちょっと野村教頭…」さすがに、学年主任永田が入るが
いいですね。
もうハゲたくないんだ…ストレス排除。
今後生徒の校内スマホ使用を一切禁止、持ち込みも厳禁とします。」
「なっ…」
「まずは生徒たちの理解を得ないと。」美奈都も加勢する。
「理解?必要ない。生徒は勉強に集中していればいい。」頑なだった。
「まずは、受け持ちのクラスの生徒たちと話し合いの時間をください。その結果をもとに再度職員会議で話し合いを…」続けて美奈都が言ったところで、
「必要ない」意味はない。
「今回の服巻先生の件も含めて、生徒たちは不安がっているはずです。私たちからきちんと説明しないと…」田畑がバトンを受け継ぐと、
「説明?何を説明するんです?もはや説明の必要がないほど情報は拡散しています。我が校の評判はわずか数時間で地の底まで堕ちた。信用回復に手段は選んでいられません。」噂が飛び交う中で釈明は大事だが…。
「いやそれでも…」
「田畑先生、あなたの指導のおかげであなたのクラスはどうなっています?SNSを使ったいじめ問題が表面化して、学級崩壊寸前ですよね。」痛いところを突かれてしまう。
「生徒の自主性?笑わせる」首を傾げた
「ちょっと…」ガタッ
ついに美奈都も立ち上がる
「教頭ぉ」そこに、遮るように手を上げ、ヒラヒラとさせる人物。神庭だ。
生徒のスマホの件ですが、
寝言ですzzz
「えっ!?」その意外性に美奈都は隣の神庭の方を向く。
「他には?反対の方は起立を」弾みがついたため、このまま採決を進めるつもりだ。
様子を伺うような表情の教員たちは尻に根が生えたかのように動かない。元から起立している田畑と美奈都が目立つだけだ。
「多数決により−」
「…」わかりきってはいるが、最終判断を待つ美奈都。
「決定ですね。」終わった。
「それと、教員の今後一切の生贄投票に関する関わりを禁じます。投票はもちろん呼びかけにも応じないように…完全に無視すること。」これは正しいだろう。
「あと、この一件に関して生徒 マスコミ 保護者等の問い合わせはすべて私で対応します。皆さんは一切口外しないでください。」不安でしかない…
いいですね。
幽霊美奈都かよw 仲がよろしい。
ザワザワ 解散の運びとなる中、
「今治先生」
いつのまにか目の前にいたのは校長だった。
「今回の投票で2−Cの生徒たちが対象にされていましたが、それに関して心当たりは?」
「あ…いえ…」
「なぜ2−Cが対象となったのか。それには必ず理由があるはずです。」
「よく考えて始末書を提出しなさい。明日の朝一番に。」
「はい…」なぜか副担任が、わからないものを反省するという鬼畜ホームワークを強いられた。
その様子を離れて見ている人物…
増毛前、増毛後
睨んでいるようにも見える田畑の真剣な表情にも徹底的な上から目線の校長である。
「制服の中身は獣だと思いなさい。獣に自主性も糞もありませんから。」出口へ歩み出し、背中を見せて言い放った。
廊下
「いけない…このままじゃ…」服巻の制裁画像をスマホに映しながら瀬戸は焦った。
なんとかしなきゃ…
ー翌日職員室ー
「おはよー」
はぁ…「おはようございます…」10歳は老けたような美奈都のモーニングフェイス。
「野村教頭に朝からずいぶん絞られたみたいだな。」神庭は相変わらずクールフェイス。
「始末書全部やり直しになりました…なんで私が一人で全部やらないといけないんですか?」最もなご意見。
さぁ?
綺麗めなラクダ2頭
「それでは スマホの新しい指導要綱を配ります。生徒にはこちらのプリントを朝のホームルームで配布していただいて…」学年主任永田がプリントを配る。
−2-C−
「えーっ!?」ワーワー騒がしい教室内。
「まじかよ!」
「先生これって昨日の事件と関係あるんでしょ?」うるさい質問攻めに神庭は自身の右耳に指を突っ込むポーズ。
「俺は何も知らん。決まったことだから。明日から学校でスマホ持っているの見つけたら即指導室だからな。」知らぬ存ぜず。
「横暴!」身体をくねらせるおちゃらけ担当。
「学校側の都合押し付けんな!」指差す力強い生徒。
「ヘタな真似して停学とか勘弁してくれよ〜」神庭はサラリとかわした。
ザワザワが収まらない教室の一番後ろで、前で手を組みながらうつむく美奈都は、ハァ…とため息をついた。
ー休み時間ー
「今治先生」廊下で話しかけられる美奈都。
「中村さんどうしたの?」あの陰キャ眼鏡女だ。
「昨日検索していて、」
見つけてしまったんです…
くわばたりえw 漂うオカルトサークル長感、まさかのタメ口
美奈都は口を開けたまま固まった。
ー図書室ー
カチャッと中から鍵を閉める女の後ろ姿。
進むと更に現れる扉をキィ…
本棚の間の通路を覗いていくのは瀬戸だった。
パタン…と言う音に振り向くと、
「へへ」屈託のない笑みでやってくる男子生徒がいる。
「伊吾くん もう止めよう」対面する二人に重い空気が流れる。
「え?どうして?」伊吾は狐につままれたような顔をしていた。
「こんなこと…いつか誰かに…」言い切る前に抱きしめるオスの姿。
「だめ…」一度放す。
「私も…あなただって、学校にいられなくなる」
「いいよ、別に」キリッ
「どうなったっていいんだ。涼子さんといれるなら。その時は一緒に逃げよう」真剣な眼差し。両肩を押さえられ、そしてまた抱きしめられる。
ああ…私は弱い…
スッ
以上、生贄投票第41話ネタバレでした!
画像引用元:https://goo.gl/T8dEgP
感想・考察
強行回でした。生贄投票騒動の対応につては会議ではなく通達でしょう。校長は弱みでも握られているのか、学校のドンはどうやら教頭のようです。「携帯持ち込み禁止」で片付けようと決め込むあたり、生贄投票を甘く見ているのか、それとも仕掛ける側と一枚噛んでいるのか…悪い印象であることには間違いありません。教師たちの前で平気で生徒を「獣」呼ばわりするのですから、学校全体の指揮も下がるでしょう。周りは有無を言わせない態度に黙るのみです。しかし、一応異議を唱えたのは田畑。前話までの流れからも一番まともそうな気がしますが、言及されたSNSいじめ問題により、"自由な校風""自主性"を盾に、放任主義のような雰囲気が見えました。まあ、いじめを察知していて何もしない上もどうかと思いますがね。そして、斜に構えたタイプの神庭が大人しく教頭の意見に賛成したことには、何かしらの意味があるのではないかと考えます。そして、意味不明な反省文を欠かされた美奈都ですが、2-Cであった理由はどこにあるのでしょうか?過去の生贄投票が2-Cだったということ以外に、訳知り感を出してくる中村の存在や、新たに発覚した瀬戸と伊吾の禁断愛は良いヒントになりそうです。それにしても、以前のバレー部顧問との隠し撮り含め教師と生徒のゲス恋愛描写はお気に入りなのでしょうか。なぜ一番子供っぽい伊吾に惹かれたのかは知りませんが、瀬戸の方が入れ込んでいるように感じます。高校生の言う「一緒に逃げよう」になんの説得力があるのでしょうか。うまい具合に伊吾が利用している可能性は高いです。バレるのも時間の問題…?次回、第43話に続く!